あなたの声を変えるボイストレーニング――ベルカント唱法と心理学に基づく本格的発声法
声のコラム
  1. ダイエット? 美容整形?
  2. 「いい男」の見つけ方
  3. ジョークのひとつも言えない
  4. 倦怠期を乗り越える方法
  5. プレゼンテーションを担当することになったら

ダイエット? 美容整形?


●ダイエットがダメなら美容整形がある!?


私(齋藤)は仕事で東京と新潟を行ったり来たりしています。

月の半分は東京、残りの半分は新潟。

先日、新潟に向かう新幹線の中で、ひとつ後ろのシートに女性の2人連れが座っていました。

20代半ばでしょうか。

「これ、食べる?」
「ごめん。私ダイエット中だから」

ダイエット――まあ、ありがちな話ではあります。

実は、おもしろかったのは、その後の展開。

「なにあんたまたダイエットしてるの?」
「だってキレイになりたいんだもん」

なるほど、気持ちはわかります。汚くなりたい女性はいないでしょうね。

「だったら整形でもすれば? 美容整形」

おお、(たぶん)可愛い顔して、なかなかきついことをおっしゃる。

しかし、予想外の反応が。

「いやマジ考えてて。鼻と顎んとこちょっといじろうかなと」

おいおい、ダイエットから、すごい話になりましたね。美容整形を本気で検討しているとは……。

ダイエットが思うようにいかないので、今度は切り貼りしますか。

最近はめずらしくもないそうです。ダイエット食品やダイエット用サプリメントをいろいろと試して、結局うまくいかず(簡単なダイエット方法なんてありませんよね)、美容整形をすぐに選択肢に入れてしまう人が。



●顔にメスを入れたって


ダイエット食品やサプリメントを利用しても、カロリーコントロールがうまくいかない。

さまざまなダイエット方法を試してもダメ。

で、美容整形に走りたくなる。

気持ちはわかります。自分は何もしなくても、簡単に自分を変えられる方法があるなら、魅力的な自分がお金で買えるなら、買ってしまいたい――そんな気持ち。

でも、よく考えてみてください。

モテる(モテない)理由は、顔だけですか?

男性が女性に反応する要素として、きわめて大事な「声」のことを忘れていませんか?

誰もが心理学的な調査結果なんて気にしているわけではありませんから「声なんてどうでもいい」と思っているかもしれませんが、専門家の立場から言わせてもらえるなら、「声が悪いとモテない」と断言できます。

しかも、顔にメスを入れたって、声は変わりませんよ。

ダイエットに成功したって声については同じですが、まあ健康上のメリットはあるでしょう。

しかし、美容整形は……

歯の矯正でもすれば、声が多少変わることはあります。しかし、ボイストレーニングをやってみてわかるように、声の質には、むしろ口腔内の軟口蓋や口蓋垂、唇、口の開け方、舌の位置などが重要。

好きな男性の無意識領域に働きかける作用からすれば、顔などの見た目は恋愛の入り口にはなっても、長期的な関係を維持する力はありません。

「美人は三日で飽きる。ブスは三日で慣れる」という諺――ホントか?――があります。

いずれにしても、視覚的な刺激に慣れやすいのは事実。

デート中なのに恋人をほったらかして目で追ってしまいそうになるほどの美人でも、毎日見ていれば「まあ、こんなものかな」と感動は薄れる。

反対に、見ると悲鳴を上げそうになるようなご面相――そういう人がいたとして――だとしても、毎日見ていれば、悲鳴を上げないようになる。

どっちの「慣れ」が幸せかはわかりませんが、視覚的刺激の影響はそう長続きはしません。



●声は、慣れない


しかし、声は違う。

良い声は、3年聴き続けても、うっとりします。

悪い声は、3年聞き続けても、慣れることなく耳障りです。

顔にメスなんか入れたって、声が変わらないとモテ方は変わりません。

厳密にいうと、非モテ状態へのプロセスが少しだけ変わります。

かつては、最初から最後まで徹底して「モテない」。

美容整形の手術後は、一時的に興味を示す男性が出てくる可能性があるが、最終的にはやはり嫌われ、やっぱり「モテない」。

結果は同じことです。よけいにつらいかもしれない。

「顔のせいでもてなかった女性なら、顔をいじれば結果が変わるのでは?」と思うかもしれませんね。

確かに、ありえなくはありません。

しかし、新幹線のひとつ後ろのシートから聞こえてくる「ごめん。私ダイエット中だから」の声は、きわめて強烈な「険のある声」でした。

「ボイストレーニングで男運が激変するだろうな」と思わせる、キリやヤリのように突き刺さる声でした。

あなたのまわりに美容整形を検討している女性がいたら、教えてあげてください。

「声を変えれば、男運は変わる」と。




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